実は鎌倉アルプスって呼ばない?地元トレイルランナーが明かす「天園ハイキングコース」の魅力と歩き方

その名も「鎌倉アルプス」、でも地元では…?

先日、仲良くさせていただいている北鎌倉の建長寺横に店舗を構える創作いなり「曲」さんの店主と他愛無い会話をしているとき「そういえば、鎌倉アルプスのさ~」と言われ、その場ではそのまま会話を続けたが、実はけっこう引っ掛かっていた。

なぜかというと、随分と久しぶりに「鎌倉アルプス」というワードを聞いたからだ。

鎌倉アルプス
地元トレイルランナーでそう呼ぶ人はいない?

多くのガイドブックや雑誌などのメディアで紹介される「鎌倉アルプス」。
でも実は鎌倉のトレイルランナー仲間で「鎌倉アルプス」と呼んでいる人、実はほとんどいない、いやもうゼロに近い、本当に久しく聞いていないワードだった。

自分が10年以上前の鎌倉に住み始めた頃、またそれ以前は「鎌倉アルプス」と呼んでいたかもしれないがすぐに呼ばなくなった気がする。なぜだろうか、考えたこともなかった。この鎌倉スロートレイルを通して鎌倉の山でツアーガイドをやっていくのでこれを機に考えてみよう。

そもそも鎌倉アルプスとは一体どこを指しているんだっけ、なんで鎌倉アルプスと呼ばれているのか(憶測)、そして地元民トレイルランナーから見た鎌倉アルプスなど、10年以上も「鎌倉アルプス」を走り回ってきた経験からお伝えします。

「鎌倉アルプス」の正体、天園ハイキングコース

鎌倉に住み、10年以上もの間、鎌倉の山を走り回りオリジナル鎌倉トレイルマップ(また別の記事で紹介予定)も作り、鎌倉の山については誰にも負けないぐらい詳しいと勝手に思っている私トレイル(ニックネーム)だが、「鎌倉アルプス」については観光客や鎌倉市外のハイカーの方が詳しいのではないかと思っている笑

鎌倉アルプスってそもそもどこを指すんだっけ?と検索してしまうぐらい馴染みがなかった。
検索してみると、どうやら「天園ハイキングコース」のことを指すようだ。「天園」といえばもちろん馴染みがあるし、地元トレイルランナーたちも日常的に使っているワードだ。

「今日はさくっと天園走って、最後はビールで乾杯しよう」なんて会話は鎌倉のトレイルランナーたちの日常会話だ。

天園ハイキングコースの中心地、鎌倉市最高峰の大平山
天園ハイキングコースの中心地、鎌倉市最高峰の大平山

天園ということはわかったが、そもそもなぜ鎌倉アルプスと呼ぶんだろうか。ちょっとAIに質問してみた。すると、

  1. マーケティング・観光的魅力の向上
  2. 低山ながらも変化に富んだ地形
  3. 地域住民や登山愛好家による愛称
  4. 本家「日本アルプス」への憧れ

という回答が出てきた。ほうほう。
せっかくなので1つ1つ、地元トレイルランナーの私の視点からも見ていきたい。

まず「①マーケティング・観光的魅力の向上」について、いきなりだがこれが正解に近いのではないかと思っている笑。天園ハイキングコースと言われても、知らない人からしたらそもそも鎌倉なのかもわからない。鎌倉アルプスと言ったほうが鎌倉の山なんだとわかりが早い。いやこれが正解だと思う、うん。これだこれ。この回答は100点満点中90点としておこう。(急に点数を付けてみる)

続いて「②低山ながらも変化に富んだ地形」だが、変化に富んだ地形というのがどの程度にもよるが、天園ハイキングコースは気軽に観光気分で歩こうと思うと意外とちゃんと山だなって感じると思う、小奇麗なスニーカーで登ったらちょっと後悔するぐらいには険しい、でも普段1000mや2000m級の山でのハイキングに慣れてる人からするとなんだこんなもんかというぐらいの山ではある。さくっと気軽に山気分を味わうには絶好の山だとは思う。ということで②は50点。

「③地域住民や登山愛好家による愛称」、これはかなり点数が低いぞ。鎌倉近隣のトレイルランナー仲間はざっと数十人はいる、金曜朝の二の鳥居グループランでも毎週いろんなランナーと顔を合わせているが久しく「鎌倉アルプス」というワードを聞いたことがない。みんな天園とか六国見山とか台峰とか具体的な山の名前で会話するので、鎌倉アルプスなんて単語は本当に聞かない。でも待てよ、トレイルランナーという山を走る特殊な人たちのなかにいることが多いからそう感じている可能性もありそうな?山に滅多に行かない多くの鎌倉住人達は鎌倉アルプスと呼んでたりするんだろうか・・・いやでも「子供が遠足で天園登って~」なんて話はよく聞いたりする。ということで③は20点としておこう。

意外とこの憶測ネタが面白くなって記事も長くなってきた。最後は「④本家「日本アルプス」への憧れ」だが、憧れるほど日本アルプスが鎌倉から距離的に近くもなく身近な存在ではないし、鎌倉アルプス(標高160m弱)と日本アルプス(標高3000m強)では標高差がありすぎて憧れるのはおこがましい。そもそも憧れというのは誰が?鎌倉アルプスの名づけ親が?(誰だ?)鎌倉市が?この回答は正解から遠い気がするので10点。

では結果発表。

  1. 1位90点 マーケティング・観光的魅力の向上
  2. 2位50点 低山ながらも変化に富んだ地形 
  3. 3位20点 地域住民や登山愛好家による愛称
  4. 4位10点 本家「日本アルプス」への憧れ

AIが出したそのままの順番になったじゃないか、AIの精度の高さも感じられる結果となった笑
まとめると、鎌倉アルプスと呼ばれた経緯は、やはり最初に出てきた「①マーケティング・観光的魅力の向上」が一番正解に近いのではないだろうか。そもそも鎌倉に山があることすら知らない人が多い気もするので天園と呼ぶよりも、鎌倉アルプスって呼んだほうがわかりが早いよね。メディアも伝えやすいよね。きっとそうだ。

こんな記事でも書かないと「鎌倉アルプス」にここまで向き合わなかったので、有意義な時間となった笑

地元のリアル、「天園(てんえん)」と呼ぶ理由

「鎌倉アルプス」って呼ばれた経緯は憶測だけどなんとなく腑に落ちてきた。次は、なぜ地元では「鎌倉アルプス」と呼ばれていないのか。

自分は東京出身で鎌倉に住んで10年ちょっとだが、小さい頃から鎌倉で育ってきた人たちの話を聞いていると昔から「天園」という名前で親しまれて、学校で遠足に行ってた、よく部活で走っていたなどの話は聞いたりする。

鎌倉に住んで数年~10年以上の地元トレイルランナーたちも昔は「鎌倉アルプス」と呼んでいたかもしれないけど、「天園」という名称で呼んだほうが地元民同士の会話では単純にわかりやすい。地元ではみんなそう呼ぶから、自然と「鎌倉アルプス」から「天園」にみんな変わっていくんだろうか。

あとなんとなく「天園」と呼んだ方が地元民っぽいから、という理由も少しありそうな気がしている笑
鎌倉はご存じ、住みたい街ランキングも常連でちょっとした憧れの街みたいなところもある。自分含め市外から越してきた人は鎌倉の地元民として馴染みたいみたいな気持ちもあったりするのかもしれない。

似たような話で鎌倉の有名な海水浴場「由比ヶ浜(ゆいがはま)」、この呼び方も地元民と観光客とではイントネーションが違う。地元民は「ゆ」にアクセントを置いて発音するけど、観光客は「が」にアクセントを置く。自分も最初は後者のアクセントだったが今はすっかり地元民のアクセントを使っている笑

鎌倉アルプスは気軽な低山ハイクなようで意外と遠い

鎌倉アルプスネタでここまで書けると思ってなくて記事が長くなってきたが、天園ハイキングコースの紹介も少ししたいと思う。

鎌倉市最高峰の大平山(159.4m、おおひらやま)を中心に、西は建長寺の半僧坊(はんぞうぼう)から東は瑞泉寺(ずいせんじ)あたりまで広がるエリアが天園ハイキングコースと呼ばれている。メジャーな登山口は、瑞泉寺と獅子舞(ししまい)と覚園寺(かくおんじ)、それと建長寺の境内から登っていく入口と北鎌倉側の今泉台あたりになる。天園ハイキングコースに繋がるマニアックな登山口はもっとたくさんあるのでこれは是非鎌倉スロートレイルイベントに参加して私に聞いてほしい笑

瑞泉寺口から大平山を通って、建長寺や北鎌倉側の今泉台あたりまで端から端まで約4キロあり、ハイキングペースで歩くと1時間30分ぐらいかかる。トレイルランだと30分ちょっとぐらい。鎌倉の山の中では一番長いハイキングコースになる。低山ハイクとして気軽に登れるけどしっかり山気分も味わえる最適な山だと思う。

ただ天園ハイキングコースのどの登山口に行くにも鎌倉駅からも北鎌倉駅からも少し遠いので、気軽な気軽な低山ハイクなようで意外と遠いハイキングコースでもある。トレイルランナーであれば鎌倉駅や北鎌倉駅からウォーミングアップがてら登山口までなんなく走って行けるが、ハイカーにとってはどこの登山口も歩いて行くとなかなか遠いので鎌倉駅からバスで鎌倉宮まで行き、そこから歩くのが良いのではないかと思う。最後は建長寺の境内から降りて(境内は拝観料大人500円、子供200円かかるので注意)、北鎌倉駅方面に抜けるのが定番のコース。逆に歩いて鶴岡八幡宮経由の鎌倉駅へ歩くのも良いと思う。

アクセスの良さだけで言うともっと気軽に登れる鎌倉の山はけっこうあるので、是非鎌倉スロートレイルのイベントで体験してほしい。

勝上献展望台から望む鎌倉市街と相模湾
勝上献展望台から望む鎌倉市街と相模湾

大平山の広場や半僧坊・勝上献展望台(しょうじょうけん)、十王岩(じゅうおういわ)からは鎌倉市街から海まで見渡せてとても眺めが良い。勝上献展望台からは富士山も良く見える(展望台の上の方から見ると草木で見えにくいので階段を少しだけ降りると右側によく見える)

勝上献展望台の草木が邪魔して少し見にくい富士山、冬はもう少し見やすいかな
勝上献展望台の草木が邪魔して少し見にくい富士山、冬はもう少し見やすいかな

ガイドブックやメディアではよく目にする「鎌倉アルプス」を地元トレイルランナーの視点で、気軽な気持ちで深堀してみたが意外と面白かったのでこういった視点で今後も鎌倉の山にまつわる記事を書いていこうと思う。鎌倉アルプスこと天園ハイキングコースからガイドブックには載らないコースまで鎌倉のあらゆるコースで初心者向けのトレイルランとハイキングの少人数ツアーを鎌倉スロートレイルで開催しているので是非体験してください。ご参加お待ちしてます!

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冒頭で出てきた北鎌倉の建長寺横に店舗を構える創作いなり「曲」さんのインスタグラムはこちら
天園ハイキングコースから建長寺境内を下っていくとすぐ。

鎌倉アルプス・天園ハイキングコース地図

今回この記事でご紹介した鎌倉アルプス・天園ハイキングコースと登山口や展望台などをGoogle Mapにまとめました。是非ご覧ください。

マップの見方
緑の線はハイキングコース
灰色の線は道路
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